キャンセルの術

円滑なコミュニケーションを図る上で、欠かすことのできないアビリティがあります。
それが「キャンセルの術」という技です。
多くの人から好印象を持たれるコミュニケーション上手な人や、普段から「話す」事を生業としている人は、おそらく無意識のうちにそのテクニックを使用しているんじゃないかと私は思います。
何をキャンセルするのかというと、
要するに直前に発してしまった失言など、良くない印象を相手の記憶から消去してしまうという事です。

零の軌跡-(9)
例えば、
「あ、この人、なんか不満そうな顔になってきた。後で名指しで苦情入れられたらどうしよう(´・ω・` )」
「マズい!今の発言or行為はセクハラと捉えられたかも(((°Д°;)))」
と感じる様な雲行き怪しい展開になりかけた時、
間髪入れずにその話題から別の話にすり替えてしまうという事。
ただし、相手がその別の話題の方により興味を持っている必要があります。
さもないと、「おい!誤魔化してんじゃねーよ。」とむしろ事態が悪化します。
でも成功すれば、相手は必ずそっちの方に食い付きます。そして待ってましたとばかりに自分から饒舌に話し出すものです。
で、あっという間に先ほどの話は些細な事と脳内でランクダウンしていき、ついには記憶から完全に追い出されます。
そんな子供騙しみたいな方法で本当に上手く行くのか?と半信半疑になりますが、
試しにほとぼりが冷めた後にその事を聞いてみたりすると、本当に完全に忘れていて、そんな事(一瞬ムカッとしかけた展開)が有った事すら信じてくれない。
それ程の効果が有ります。
どんな話題に食いついてくるかが判らない時は何でも良いのでとにかく、相手が「良かった~(*´∀`*)」とか「安心した~(*´∀`*)」って思う様な話にすり替えるとキャンセル効果がある。と私の経験上思います。
人の記憶なんて所詮その程度の物なのです。
見た事・聞いた事・感じた事をなんでもかんでも全て意識下に記憶していくとなれば膨大な記憶容量が必要となってしまいますので、興味の薄い物から順にメモリから自動消去されていくわけです。

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脳の扁桃体と大脳新皮質の記事でも述べましたが、人はまず「不快だ」という感情が先にとりあえず扁桃体から湧き上がり、その後から何がどうして不快なのかを大脳新皮質の中で理論立てて初めて意識下に定着します。
扁桃体から気持ちが湧き上がった瞬間、まず先に表情に変化が現れます。でもまだ本人自身もなぜ不快に感じたかも理解していない段階。
その瞬間を決して見逃さず、一気に話題をすり替えてしまうのがコツです。
そのチャンスを逸してしまうと、相手はハッキリと不快である事を自己認識し、次にはその口から何某かの抗議の台詞を発することでしょう。
もちろんそうなってからでも、より相手が夢中になるであろう話のネタが有るのならキャンセル可能かもしれませんが難易度は跳ね上がります。

キャンセル術-(5)
「何だそれ。まるで詐欺みたい。」と思った方は鋭い。いかにも。振り込め詐欺など一気に相手を丸め込んで情報を引き出す手段としてもこういう技が使われています。
相手が「うん?ちょっと待った!」と疑いそうになるそばから逐一それをキャンセルしていき、頭の中を整理する時間を与えずに誘導するわけです。
そして電話を切って間もなく「しまった(>_<;)」と思っても、もう後の祭り。
新聞に出ているその手口など読んでみると、「こんなのに引っかかるなんてバカじゃないの?」と思いますが、実際自分がその当事者ならいとも簡単に騙される事でしょう。
騙された本人ですら「こんな手口にどうして私が・・・」と信じられない程に。

術を発動するタイミングを逃さないためにも、前提として、
「相手が今、不快な表情をしそうになっている」という事を瞬時に察知できなければ意味がありませんね。
だから、要するに大事な事はまず「相手をよく観察する。」という事かな。
場の空気が読めていなければキャンセルもへったくれも有りませんからね。
表情や心を読むだけでなく、歩き方や髪型や服装や持ち物まで全てに興味を持って観るという事。
自分の事でいっぱいいっぱいで周りに無関心。では上手くいきません。

キャンセル術 (1)
これは1対1の会話以外でも重要な事です。
たくさんの人の前で発表などする時、例えば意地悪い人がいちいち揚げ足を取るようにバカげた質問を投げかけてくるなどというケースはよくある事かと存じますが、
そんな時、適当に無難な回答を返すと同時に、間髪入れずにその話を折られる直前の話題に戻る事。
そうする事によって、その空気が悪くなった中間の部分を聴衆は完全に忘れる事となり、そのプレゼン全体の印象が悪化する事も回避できます。

キャンセル術 (2)
言うなれば、ドラマの盛り上がっているシーンで挟まれたCMみたいな物にしてしまうのです。
CMが終わってドラマ続きが始まったらまず間違いなくそのCMの事など頭の中から放り出されますよね。
もし懲りずに何度も繰り返す様ならその人は聴衆から冷たい視線を一斉に浴びる事になるでしょう。
いつも良いところでCMが入ってその時に出てくる顔がお馴染みのタレントだったりしたらそのタレントは何故か嫌われていくでしょう。
ただしこの場合も、その質問者のツッコミが「話の腰を折るだけのバカげた物」であり、「こいつウザッ!黙っとけや。」とみんなが煙たがっているという空気を読み取らなくてはなりません。
逆にもしもそのツッコミが他のみんなも疑問に感じていた様な大事な質問だったとしたら、「はぐらかしやがった!」と聴衆は感じる事となり、そのプレゼンの印象は一気に悪化するでしょう。

キャンセル術-(3)
別れ際に、絶妙な笑顔で相手の目を見て挨拶する。
たったそれだけでも、キャンセル効果が発揮されます。
「何となくモヤッとした気分だったけど、そんなのもうどうでもいいや。些細な事だったんだろう。」という気持ちになります。
さっきまで仏頂面で意地悪だったコペ婆さんが、孫のラスカの顔を見た途端に・・・(ドラクエ10)
なども同様の現象だと思います。
「終わり良ければ全て良し」という諺にも通じる物がありますね。
で、その「絶妙な笑顔」って具体的にどんな顔かと言うと、
要するに相手に安心感・信頼感を与える表情だと思います。
別に目鼻立ちの整った美形である必要はありません。不細工でも良いんです。要は「表情」です。「心」です。
その時に発する声のトーンや喋り方も重要です。
コンビニのバイトなどでよく見かける様な、言葉遣いは丁寧ながらも、いかにもマニュアル通りに機械的に発しているだけだなって印象のあんな心のこもっていない挨拶ではダメです。
「また来てね♡」ってケースなら満面の笑みで、「頑張れ負けるな(`・ω・´ )」ってケースなら修造さんみたいな目力の篭った笑顔で、とにかく「私は貴方の味方ですよ」っていうオーラを纏って相手の肩に見えざる手を乗せるイメージかな。
これは外国人など言葉があまり通じない相手の場合は特に重要だと感じます。

しかしながらこれらのテクニックは、ネット上など文字で書く事しかできなくて尚且つ記録が全て残ってしまう様なやりとりの場合は、後から読み直されてしまうので使用不可能です。
またボイスレコーダーなどで録音されて後から聞き直されるような会話の場合も然り。
「あれ? あの野郎、華麗にスルーしやがったな。」と、消されていたはずの記憶が復旧されてしまうからです。

キャンセル術-(4)
話を戻します。
ではどうすればキャンセルの術を会得できるのか?
しようとして一朝一夕でマスターできる様な物ではないでしょう。
実際ここまでウンウンと頷きながら読み進まれた方ならお解りと存じますが、できる人は既に自然と身に付いている技だと思います。
いつも無意識のうちにやっている話術を、改めて科学的に考察してみた。って感じかな。
なのでやはり、場数を踏んで徐々に身につけるしかないだろうと言うのが結論です。
「話す」という事は人間社会で生きていく上で最も重要な要素ですから、これを回避しようとせず積極的に誰にでも接する事。
ごく当たり前の事ですが。
何度も苦い経験を積む事によって徐々に上達する物です。失敗は成功の元。
ただし、失敗に終わった時に何がどうマズかったのかを考察する謙虚さは必要です。
つづく・・・
Posted by れいな on 07.2015   0 comments   0 trackback
Category :学術的日記

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