テーラーメイド医療

前回、糖尿病について少し触れましたが、
「甘い物ばっかり食べていると糖尿病になる」などと信じてらっしゃる方は居ませんか?
結論から言うと、それは間違いです。
甘かろうが辛かろうが関係なく、要するにカロリーオーバーを毎日繰り返していると発症し易くなるという事ですので。
ただ、甘い食べ物は概ね高カロリーである事が多いというだけです。

更に言えば・・・
ここからが本題なわけですが、
食べまくってぶくぶく太れば誰でも糖尿病になるのかというと、これも否です。
なる人はなる。ならない人はならないのです。

注)厳密には云々とか、細かい事を付け加えると本質を見失いますので、解りやすくするため敢えて極端な表現を使います。

DNA (4)
糖尿病(大人がなる一般的な2型の方)になるか、ならないか。
それは生まれつき決まっています。
そう。遺伝です。
両親のどちらか、あるいは近しい親族に糖尿病患者が存在すれば、なる可能性は極めて高くなります。
暴飲暴食しない様にいつも注意して体重コントロールしていても発症するかもしれない。
いや、多分なります。遅かれ早かれ治療を始めなければならない日が来る。
そう覚悟しておいた方が良いです。

で、逆に親・きょうだい・祖父母など血の繋がった親族に誰も糖尿病を持っている人が居ない。って人は、まず発症する事は有りません。
好きなだけ食べたい物を食べて飲みたい物を飲んで太っても、発症しません。
朝ご飯はチョコのお菓子、昼ご飯はケーキ、晩ご飯はアイスクリーム。であっても糖尿などどこ吹く風です。

酒に強い人は初めから強い。弱い人は初めから弱い。生まれつきアセトアルデヒドの分解酵素の量や質が人それぞれ違う。
マリオカートが上手い人は最初から上手い。下手な人は何年練習しても9999VRには届かない。
それと同じです(何

脳梗塞  
これは糖尿病に限った話ではなく、多くの疾病についても同じ事が言えます。
ですので問診における「家族歴」という項目は極めて重要なのです。
例えば、AさんBさんの二人が、
血圧が高い、糖が下りている、コレステロールが異常値など、同程度の異常所見が出たとする。
Aさんは家族歴に誰も脳卒中・心筋梗塞になった人が居ない。となれば、「今回はまあ、たまたま引っかかったけど、さほど気にすることはないよ。」となります。
が、Bさんは父親も祖父も脳卒中の経歴あり。となれば話は180度変わり、「今日からでも投薬治療を開始し、基準値をオーバーしない様にコントロールすべきである。しなければ確実に親と同じイベントが訪れるよ。」と指導する必要があります。

DNA (6)  
すなわち十把一からげではないという事です。
一人一人が持つ遺伝的な、病気になる「素質」が有るか無いかを加味して治療法を考えなくてはならない。
それをテーラーメイド医療と言います。
洋服や靴を、既定サイズではなくオーダーメイドであつらえてもらう。それと同様の概念です。
 
DNA (5)
具体的には、誕生すると同時に血液等から全遺伝情報を解析し、それをチップにデータ保存し、医療機関を受診する際、常にそれを提出して、検査結果とミックスして、要治療かどうかを個別に判断したり、その人に最も相性の良い治療法・薬剤を探る。
そんなイメージです。
この概念自体はもう20年ぐらい前から確立しており、それがベストであるという事も周知の事実です。

巨塔
約10年前のドラマ「白い巨塔(唐沢版)」の第17話の中でもそれを取り入れた高度がんセンターを建築していましたね。
ですが現実には一向に導入が進んでおりません。
もちろん費用とか機器とかその様な物理的な壁も有るのですが、一番の問題は、

A「この値だったけど、様子見で良いってさ。」
B「え? 私も同じ値だけど要治療って言われたよ。」
AB「同じ所見なのに、どういう事よ!」
こういう問題です。

本来それは当たり前の事なのです。
人間は生まれながらにして決して「平等ではない」からです。
好きなだけ食べても太らない人も居れば、毎日毎日カロリーや栄養などに気を遣っていてもすぐ太ってしまう人も居る。
Aさんの正常範囲は170以下だけどBさんの正常範囲は130以下である。
薬剤感受性だって人によって様々で、同じ体格であったとしても既定の投与量では一方では効果が無く一方では効き過ぎる。
当然支払う年間医療費にも大きく差が出る。
それが現実なのです。
でも人はそういう不公平感をすごく嫌います。
あの人は良くて、何で私はダメなのよ!って思います。
また医療側も、AさんとBさんになぜ一方では経過観察で良くて一方では要治療なのかを説明し納得させるのも大変な事ですし、個人情報保護の問題なども絡んできます。

なので、ある程度は十把一からげの基準やガイドラインやマニュアル等を制定しなければ医療が立ち行きません。
その辺りが、遅々としてシステムが確立しない理由だと思います。

DNA (3)
人によっては、
「そうか。じゃあいくら食事とか健康に気を遣って我慢したって無駄じゃないの。どうせ否応無く発症するんだからさ。」
この様に自分勝手に曲解してしまう人も出てくるでしょう。
いや、極論を言えばその通りなのですが。
だから諦めろというのではありません。
医療の力によってその不幸な運命を捻じ曲げる事は可能なのです。

DNA (1)
「なんで私だけここまで厳格に投薬コントロールしなきゃならないの?」「私が何したって言うのよ。どうして私だけが次々とこんな目に遭わなくちゃならないのよ!」って思うかもしれませんが、
「私は私。他の人とは違うんだ。普通の人は食べ物とか運動とか気をつけることによってコントロール可能でしょうけど、私の場合はそんなの焼け石に水。生まれつき病気になり易いハンディキャップを持っているから、自分専用の治療・予防を早期からやる必要があるんだ。」
と開き直りましょう。

DNA (7)  
この様に、「人は決して平等に生まれるわけじゃない」って現実を受け止めるというのは時に酷な事ではあります。
しかしそこから目を背け自分に合いもしない薬剤を延々と飲まされたり、手ぬるい対策で手遅れになったりしては結局不幸なだけです。
ですので、個々の医師のウデや施設の水準によって最適な医療を受けられる受けられないが決まってしまうのではなく、いつでもどこでも誰でもそれを享受できるテーラーメイド医療のシステム構築こそ、これからの臨床の場に必要不可欠な物だと私は思います。

Posted by れいな on 13.2015   0 comments   0 trackback
Category :学術的日記

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